これから世界を変える新卒者へのメッセージ

新卒準備カレンダー 2011春」企画の参加エントリーです。

企画を立ち上げてくれたymotongpooさんとリツイートで情報を回してくれたsugyanさんに感謝します。
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■お前、誰よ?

ネットでは「だいちゃん」と呼ばれてる。三流プログラマーです。就職氷河期と呼ばれた時期に大学を自主卒業(中退)した後に、京都大学の産学官共同プロジェクトにプロパーとして採用され、後にそこでの研究結果をもとに現在の会社を起業しました。個人的には、クラウド/P2P/OpenSource/Googleのテクノロジーに興味があります。詳細はニコニコ大百科が詳しいです。

■職業

ソフトウェアエンジニア

■年数

プロとしては8年。プログラム自体は小学校5年生ぐらいからC言語を始めて、高校生の時には金融系のIT企業でバイト(銀行の顧客管理システムの開発)をしてました。

■どんなことをやっているか

自社製品のP2Pベースのビジュアルコミュニケーションフレームワーク(分りやすく言うとSkypeみたいなテクノロジー)の開発および、ウェブサービスの開発。個人的にはGoogleテクノロジーの追っかけ。京都で、Google Technology UGというGoogle公認の集まりをやっているので、興味のある方はぜひご参加下さい。

■おすすめの本

最近の本は追加できてませんが、よく質問されるのでこちらにまとめてあります。

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私は、IT業界で飯を食わせてもらっている一人として、IT業界の発展を強く望んでおります。今回はIT業界を目指している方たちへのメッセージをブログで書かせて頂けるというので、参加させて頂きました。

私なりの文章で、IT業界と私の想いを書かせて頂きますが、残念ながら私は、学生時代の国語の通知簿は5段階で1か2を取ることが多く、その数字の並びはまさに軍隊の行進(イチ、ニ、イチ、ニ)状態。そんな訳で、他の方のように影響力のある文章が書けるとは思っていませんが、それでも1人ぐらい私のエントリーで人生に良い影響を与えられれば幸いです。また私自身、かなり特殊な生き方をしているので、多くの方に適用できるとも思っていませんので、何を実践するかというのはご自身でご判断下さい。

*思考を変えよう

これまでは仕送りと月数万円のバイト代で生活してきていた学生が、就職するとイキナリ18万円とか20万円とか給料を貰えるようになります。もちろん会社から見た場合、最初から給料相当分の働きをする事を期待してはいませんが、そう遠くない未来にあなたはその給料以上のお金を稼ぎ出す事を期待されています。

この点をよく理解した上で、どうやったら自分のパフォーマンスを上げられるかを考えながら行動すると、周りからの評価が上がり一目置かれる存在になれると思います。具体的には、「定型の作業を見つけた場合には自動化する」というのが最も分かり安いアクションですが、他にも「例外的な作業が必要になる場合や、あるソフトウェアの特定バージョンとの相性問題を発見した場合に、他人とシェアできる場所にメモを残すようにする」など、他人が自分の作業範囲に関わる時にスムーズに受け入れられる用意があると、無駄なやり取りを軽減することができます。

これは、自分にとっても他人にとっても幸せな事で、単に「ここのドキュメントを読んでください」という一言で作業に必要な情報の大部分を渡すことができる一方で、数カ月後の自分にとっても「あれ?これ何したらいいんだっけ?」という状況を防ぐ事ができます。人間は忘れる動物なのです。

*良い物が売れる訳ではない

すごく良い例として、昔ビデオ戦争というのがありました。今でもレンタルビデオ屋さんの片隅にある日本ビクターが開発したVHSビデオテープとソニーが開発したベータと呼ばれるテープとの覇権争いなのですが、品質としてはベータの方が高音質・高画質、さらにはサイズが小さいと製品としては向かうところ敵なしでした。しかし、松下電器産業(現パナソニック)を陣営に取り込んでいたVHS側は、街の電気屋さんと称される松下電器産業の日本全国の販売・サポートのネットワークをフル活用し、地に足の着いたローラー作戦で確実に顧客を取り込んで行きました。また同時期に普及したレンタルビデオ屋さんでの採用率の問題もありました。VHS陣営はアダルトビデオへの供給を積極的に進めた一方で、ベータ陣営は躊躇したと言われています。結果は、みなさんご存知のようにVHSが勝った訳です。

このように、良い物を作れば勝手に売れるという訳では無いという事を理解しておくのはエンジニアにとって非常に重要です。どんなに素晴らしい発見をしたり、良い物を作っても、誰にも知られなければこの世に存在しないのと同じ事です。

エンジニアだけで、お金を稼ぐ事は不可能ではありませんが、それはすごく難しい事なのです。社会に出ると、営業チームやマーケティングチームと衝突する事もあるでしょうが、彼らも彼らなりにがんばってエンジニアが作った物を普及させたいと思っているのです。頭の片隅にこの事を置いておいて頂ければと思います。

そういう私も起業するまでは、すごい技術を使って、良い製品を作れば、バンバン電話が鳴って飛ぶように売れると考えていました。けど、実際に起業してみると問い合わせは全く無く、毎月赤字という状況でしたw

*今すぐやってみよう!

私は行動指針として、「将来〇〇したい」と思った時に、それが今できる方法が無いかを考えるようにしています。例えば、定年退職したら世界一周旅行をしたいと言う人は多いのですが、私に言わせると体力無くなってから行くよりは、体力あるうちに行った方が色々冒険ができるし、日本の常識からは考えられないような異文化に触れる事で人間の幅が広がって良いんじゃないの?と思います。

そこで、今、世界一周旅行をするにはどうするかを考える訳です。流石に、本当に世界一周旅行をするための資金と自由に使える時間は無い訳ですから、例えば、10ヵ年計画で、毎年1〜2ヶ国は行く!という計画をします。海外旅行に慣れてない人はおどろくかもしれませんが、アジア圏であれば国内旅行感覚で行くことが可能です。事実、私は毎年2〜4回海外旅行に出かけており、社会人になってからは国内旅行に行った回数よりも多いです。

このように、「将来〇〇したいな」と思った時には、ぜひ今できないか考えてみて下さい。ちょっと頭をひねるだけで、すぐに実現できる事は結構ありますよ。

*Give & Give

普通は、見返りを求めて何かをしてあげるという事が多いと思いますが、私は可能なかぎりGive & Giveという行動指針に基づいて、見返りを求めずに何かをしてあげるという事があります。今から10年ぐらい前にペイ・フォワードという映画が公開されました。この映画のメッセージは、誰かから恩を受けた場合、その人に恩返しをするのではなく、他の3人に恩を送りましょう。そうすると世界がすごく良くなりますよね!という事です。

これに感銘を受けた私は、他人に対する手助けを自分でできる範囲で行っているつもりです。なんだかんだで、結構良いアクションとなって自分に返って来てる気がします。

*もし就職先がブラック企業だった場合

残念ながら、現在の日本にはブラック企業と呼ばれる会社が多く存在しています。ブラック企業の定義自体が非常に曖昧ですが、今の会社を辞めたいと思った時に読んで欲しい文章という理解で結構です。

就職前にブラック企業であることが分からなかったとか、現在の就職難からそういった企業にしか就職が決められなかった方も少なからずいると思います。しかしながらラッキーな事にIT業界は転職することにマイナスイメージが少ないので、転職を前提にして、その会社で盗める技術は盗んでしまいましょう。どんな企業でも貴方の脳みその中にある記憶を消す事はできません!ブラック企業であっても貴方は新人で、あなたよりも出来るエンジニアはいるハズです。1〜2年そこで技術を磨いて第2新卒として他の会社に転職しましょう!あと、1年や2年で辞めると決めれば結構、気が楽になるものです。(もちろんそれでも耐えられないと思った時には、自分が潰れる前にスッパリ辞めましょう!)

どの業界でも一緒だと思いますが、IT業界でも転職の時に役に立つのは、コネです。通常の募集に応募するよりもヘッドハンティングによる転職の方が色々有利に転職する事ができます。ヘッドハンティングは、突然知らない企業から声がかかるパターンよりも、中の人とつながりがある企業から声がかかるパターンが非常に多いです。では、どうやって中の人とのつながりを持つのでしょうか?

答えは勉強会です。

*勉強会やHackathonに参加しよう!

世の中では、毎週山のように勉強会やHackathonが開催されています。よく「勉強会って何も知らずに参加したらダメなんでしょ?」と聞かれますが、それは間違いです。多くの場合は、講師となる人がいて詳しくプレゼンしてくれるので、体一つ行けばOKです。ノートパソコンも必須ではありません。ただし、ハンズオンという記載があった場合にはノートパソコンが必須です。ハンズオンというのは、講師の人が手取り足取り作業の進め方を教えてくれる形式で、勉強会の中では最も人気があります。Googleでは、CodeLabと呼ばれ私もGoogleのオフィスで何回か講師をした事があります。

Hackathonは、HackとMarathonを足しあわせた造語で、1日〜数日でアプリを完成させるイベントです。もちろんその名の通り、何かをHackしたりDebugしたりする時間にしても構いませんが、イベント毎に必ずテーマがあるのでそれに合わせる必要があります。テーマは、使用する言語やテクノロジーが指定されたり、Hackする対象が指定されたりされます。最近は、企業主催のHackathonも多くなってきており、そのようなイベントの場合、ランチやお菓子・ジュースなどが無償or安く提供されたりします。

Hackathonの楽しいポイントというのは、どうしても仕事だと利害関係が発生するのですが、Hackathonの会場では、一切の利害関係無しに好き勝手にコーディングする事ができます。私は過去に10回ぐらいHackathonを主催してきましたが、そこで作成されたもっとも面白いアプリケーションは、Androidで黒電話を実装するというものでした。なんで、わざわざ最先端のスマートフォンで黒電話を実装するんやねん!とツッコミたくなりましたw

しかも無駄に高機能で、黒電話のグラフィックは3D、加速度センサーを使い携帯を振って受話器を持ち上げる事ができました。さらに、アドレス帳機能で電話かける相手を選択しても画面上に電話番号が書かれた付箋が貼られるだけで、あくまで黒電話でジーコジーコと入力しなければなりません。最大の爆笑ポイントは、「最近の若者は黒電話の使い方を知らないだろう」ということで、メニューに「ゆとりモード」が実装されており、これを選択するとアドレス帳からダイレクトに電話をかけられるようになっていました。こんな感じで、仕事じゃ絶対に許可されないであろうアプリケーションを作る事ができます。(と、ここまで書いて、もしかして新卒世代の人は黒電話の使い方を知らなくて、この面白いポイントが通じないかもしれないと思いました)

勉強会やHackathonは、多くの場合、土日など休日に開催されます。わざわざ休みの日にこの手のイベントに参加する人は情報に対する感度が高くモチベーションが高い人が多いです。また、これらのイベントに参加する人は、さまざまな企業に深く食い込んでいる人も多く、懇親会では「お前ら絶対にTwitterやBlogに書くなよ!」と前置きされて発売前のハードウェアを触らせてもらえたりします。

そういう意味では懇親会への参加は必須と言えます。お酒が飲めない人もぜひ懇親会に参加してみて下さい。そしてもし貴方が、面白いサービスやガジェットを見つけた場合には、それを話のネタにしてとなりの人と話してみて下さい。心配しなくても、そこにいるのは業界の人です。専門用語バリバリで気楽な会話が楽しめますよ。結構、あこがれの会社の人なんかも紛れてたりしますよ。

*海外のイベントに参加しよう

私も去年はじめてシリコンバレーに行き、Google I/Oというイベントに参加してきました。やはり海外のイベントに参加すると、色々モチベーションが上がります。詳細は以前書いたこちらのエントリーをご覧下さい。

親に借金してでも、興味がある海外のイベント(できればシリコンバレー界隈)に行ってみるといいですよ。

*起業について

まず、ここからの文章は決して起業することを推奨する文章では無いことを理解しておいて下さい。ハッキリ言って会社経営は楽しい事ばかりではありません。起業家仲間の中には廃業に追い込まれたり、夜逃げをして連絡がつかなくなった人もいます。また、普通の精神では耐えられないような問題が発生することもあります。社会は、色んな人達によって回っていることを理解して下さい。そして、サラリーマンでいることが普通の社会において、ちょっと普通じゃない人達が起業家としての道を歩む事になります。(と、ここまで書いても起業する人はするんですよねw)

私自身、起業家として成功している訳ではないので、語れる事は多くありません。しかし、起業についてみなさんに知っておいて欲しい重要な事実があります。それは起業する人の多くは、初めて起業を経験し、初めて経営を実践しているという事です。もちろん中には経験者もいるでしょうが、ほとんどの起業家は人生において初めて起業した会社を経営しています。

Microsoftのビル・ゲイツ、Appleのスティーブ・ジョブズ、Googleのラリーとセルゲイなどを初めとした世の中のIT企業の創業者のほとんどが起業の未経験者だったというのは、結構勇気づけられる事実ではないでしょうか?

私自身、会社を経営してきて解ったのは、会社を経営するということを学習するのに、もっとも最適な方法は会社を経営することだという事実です。多分、1回目の起業は20代前半〜中盤にするのが理想的だと思います。もし2、3年で失敗した場合でも就職先を見つけるのはそれほど難しい事ではないだろうというのがその理由です。起業家が向いていないと思えば、その時点で就職したら良いと思います。実際、数年間継続した会社の経営経験者を雇いたいという会社は非常に多いと思います。

もしあなたが起業家としてのキャリアパスに興味がある場合には、ぜひ私が主催しているStartup Weekend Kyotoというイベントに来て下さい。

ここは告知になってしまいますが、Startup Weekendは起業家、インキュベーター、投資家を結びつけるイベントで、すでに世界25ヶ国、100ヶ都市以上で行われており、120回以上のイベントを通し1万5千人以上の起業志望者を鍛えてきました。そして、560ヶ社以上のスタートアップを立ち上げています。そして、京都でのイベントは私が主催しています。

このイベントは54時間で、サービスをローンチさせます。エンジニアメインのイベントではありますが、営業やマーケティングなどのバックボーンを持った人の参加も大歓迎です。過去には医者や議員秘書なんて人も参加していました。それぞれのバックボーンを活かし、素晴らしいスタートアップが構築されることを期待しています。日本では、東京でも定期的にイベントが開催されていますが、タイムリーな事に東京は今週末にイベントが開催されるんですよね。

今回の東京のイベントでは、Zynga Japan CEOのRobert Goldberg氏があなたのビジネスの批評をしてくれます。もしすでにビジネスのアイディアをお持ちの方、ビジネスのアイディは無いけどスタートアップに興味がある方は、この非常に貴重な機会をぜひご活用下さい。

*ビジネスにおける3つの重要な事

・キレてはいけない
・可能なかぎり食い下がる
・話してはいけない事は話さない

この3つは別々の話のようにも見えますが根底では繋がりを持っているように感じます。

・キレてはいけない

どうしてもビジネスをしていると、相手がいることなので、相手の言動によってはキレそうになる事があります。ただ、そこでキレるのはすごく簡単ですが、キレる事で事態が好転することはまずありません。単に関係が切れてビジネスが終わるというのが一般的な流れです。それで貴方の気分は良くなるかもしれませんが、長い目で見た場合、あなたはキレてビジネスを潰す人だという評価を受ける可能性があります。また、我々のような小さい会社では、そんな事を繰り返していては倒産一直線です。あなたは大人なのですから、そこはグググッとこらえて、どうやったらその問題を解決できるかに注力しましょう。それが大人ってモンです。

・可能なかぎり食い下がる

あなたが何か素晴らしいアイディアを思い付いて、それを他人に話したとき、「それは上手く行かない」と言われた経験がきっとあると思います。単なる思い付きのアイディアなら良いが、あなたが今まで練って来たビジネスアイディアならば、そこはしっぽを巻いて引き下がってはいけない。そのアイディアをより強固にするチャンスが来たと考えて、「どうしてそう思われるんですか?」と聞いてみよう。中には、直感的に反発している人もいるだろうが、実体験をもとに反発している人も数多くいます。その場合、「○年前に×社が同じことやって失敗したんだよ」とか「△社がすでにやってるよ」といった有益な情報が得られる事があります。そこで、なぜ彼らは失敗したのか、なぜ普及していないのかを研究する事ができます。そして、それを論破できるだけの根拠を集める事に成功すれば、あなたのビジネスアイディアは一段上のステージに上がった事になります。

・話してはいけない事は話さない

人間誰しも、「あー、これを今話したらマズイな」と思いつつ話してしまった経験があると思う。私も昔は結構ありました。だけど、やはり話したらマズイと思った事はほとんどの場合、話したらマズイのです。これもグググッとこらえましょう。わざわざトラブルメーカーになる必要はありません。

この3点に気をつけるようにするだけでも、上手くビジネスを推進する事ができるようになると思います。

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書きたい事はもっと沢山あるのですが、エントリーがかなり長くなって来たのでこの辺りで。起業について興味がある人は、ニコニコ生放送で質問して下さい。

最後に、【夢は逃げない。逃げるにはいつも自分だ】という言葉をみなさんに送って締めたいと思います。

■翌日担当者へのパス

次は、@nishioさんよろしくお願いします!

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